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助成財団の新たな動向、その背景を探る ー第35回「助成財団フォーラム2021」より

(公財)助成財団センター 理事 田中 皓  
新型コロナが日本に上陸してから丸2年、オミクロン株の急速な感染拡大が深刻な状況が招いている中ですが、2月4日(金)に(公財)助成財団センター主催の「第35回助成財団フォーラム2021」が昨年に続きオンラインで開催されました。

このフォーラムでは、助成財団を取り巻く環境が大きく変化してきている現状を踏まえ「助成財団の新たな動向、その背景を探る」と題して開催されました。
第2部では、大正、昭和、平成、令和のそれぞれの時代に設立されたに4つの財団から、各財団を取り巻く環境変化を乗り切ってきた具体的な活動についての報告がありました。
それぞれの特徴を生かした各財団の取組みは、取り巻く厳しい環境変化を乗り切るための頼もしい限りの力強さと自信に満ちたものでした。
その個々の内容は残念ながらこのコラムでは紹介しきれませんので、別の機会に改めてご紹介できればと思いますが、その活動を支えるのは、財団が設立されたときの創設者の熱い思いが脈々と引き継がれ、また新しい財団にはその思いがしっかりと埋め込まれ、創設者のこころの大切さが改めて浮き彫りにされたものでした。

また、フォーラムでは新たな動向として民間助成財団の新設状況についての最近の動向が助成財団センターから報告されました。
1970年から1990年にかけて助成財団の新設数はピークを迎えますが、その間は毎年40~70団体が新設されてきました。
ご高承の通り1990年以降バブルの崩壊による日本経済の沈滞、低金利政策、リーマンショック、公益法人制度改革への対応等から、助成財団の新設は長い低迷期に入り、2010年には年間の新設数は10件程度、その後も20件に及ばない状況が続きました。
ところが2020年の調査では50件程度の新設が確認され、その傾向は今も続いていると見られます。

現在その状況を分析中ですが、従来型の財産を債券で運用する財団の新設はほとんど見られなくなり、超低金利政策が長期化する中、一言でいうと創業者の株式出捐による財団の設立が多く、その所在地は地方都市に広がり、事業内容は奨学事業が多いという傾向がみられます。
その背景としては、戦後に起業された企業の代替わり時期を迎え、創業者の社会貢献への意欲、相続対策や株式保有を認める制度改革等々の理由が考えられます。
情報公開が十分進んでいないこともありその詳細の把握にはもう少し時間がかかりますが、民間助成財団の母集団の拡大は助成活動の活性化には欠かせないことであり大いに歓迎すべきことです。
人口減少、超高齢化が著しい社会がもたらす未経験の多種多様な社会課題が顕在化してくる今日に、フォーラムで報告いただいた4つの財団のように新たな課題にチャレンジする助成財団が活性化し、加えて新設される助成財団が増えてくることは大変頼もしい限りです。
また、既存財団が大都市に集中して設立されてきた傾向を脱して、新たな助成財団が地域に分散して設立される動きが見られることは、長い目で見て地域社会の発展にとっても大きな意味をことになります。

助成財団センターとしましても、今回のフォーラムで取り上げられた既存財団による積極的な事業活動へのチャレンジや環境変化の影響を受け久々に訪れた民間助成財団の新設の増加動向をしっかりフォローし、皆さまにも適確な情報提供を行いながら、共々民間助成財団界の活性化に尽力してまいる所存です(詳細はJFCVIEWS No.107を参照ください) 。