コラム

コラム一覧へもどる

With Coronaと公益法人協会

(公財)公益法人協会 理事長 雨宮 孝子

私は令和4年6月28日第33回評議員会で理事に再任され、その後の臨時理事会で理事長に再任された。
理事長再任に際して、公益法人協会のあるべき姿をお話しするのは、個人的な問題ではないかと躊躇したが、皆さまの団体でも同じことが起きるのではないかと考え、あえてコラムを書かせていただいた。

公益法人協会の理事長になって6年目になるが、そのうち3年はコロナの影響を非常に強く受けた。
令和4年7月15日現在の調べで、世界の感染者数は、5億5,900万人、死者636万人に上る。
一方我が国の感染者数は990万人、死者は3万1,500人で、4月から減少傾向にあった数値が残念ながらまた上昇し始めている。
公益法人協会の決算時の数字もここ2年間開催しにくくなったセミナー収入等の落ち込みが大きく、様々な形で収益を確保し、支出を削減して、何とか厳しい状況は逃れた。
With Corona の中、令和4年度の経営状況はやや回復基調にあるといってもよいかもしれない。

ただしここで申し上げたいのは、以前の状態に戻すことが公益法人協会の最終目標ではないということである。
コロナ禍により、世界中の生活、働き方も大きく変化した。
公益法人界も、助成式、講演会、演奏会、セミナー、相談会、理事会、評議員会などあらゆる人が集まる会合などがリモートになり、画面上で語り合うことに慣れていない人々の生活状況も一変した。
その状況が緩和され、前のような状態に戻り始めると、前の状態に戻ることが目標になって、あらゆる生存活動(政治経済も含め)の現状維持が最終目標となっていないか気になる。
現状維持を目標とすると、次第に活動が委縮してしまう。
公益法人を経営するに際しては、短期的な事業計画と、中長期的な事業計画を立てながら運営をしていくのが、通常であろうが、コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻にみられる世界経済に大きな変化がみられる場合は、まず原点に戻ること、さらにこれまでと同様のことを企画するのではなく、新しい発想で、社会全体にその効果が波及する事業を打ち立てる必要があるのではないかと私は考える。

そこでこの条件のもと今後の事業展開を考える場合、以下4点についてクリアーにすることが必要ではないか。
(1)公益法人協会のミッションは何か。
(2)民間非営利公益活動の存在意義は何か。
(3)公益法人協会に働く者としての行動指針は何か。
(4)私たちが掲げるスローガン(合言葉)は何か。

以下順に説明していく。
(1)定款3条により、公益法人協会のミッションは、公益活動を行う団体が自律的で創造的な活動ができるよう支援し、社会における非営利セクターの発展に寄与することである。
(2)民間非営利公益活動は、第一セクター(公共部門)、第二セクター(民間営利部門)、とは異なる第三セクター(民間非営利公益部門)に位置づけられ、民間からの寄付や公益目的事業の収入を財源に、様々な社会問題を自助努力で解決し、その究極目的は「公益の実現」である。その意味で、国・地方公共団体とも、営利企業とも異なる特別の存在で、一国のためだけではなくグローバルな活動を通して世界の中で自由な発想のもと大きな存在価値を有している。
(3)公益法人協会の行動基準は、倫理規程に「この法人のすべての評議員並びに役職員は、その社会的使命と役割を自覚し、この規程の理念が具体的行動と意思決定に活かされるよう不断の努力と自己規律に努めなければならない。」と記されている。常に会員等の非営利セクターの要望に真摯に取り組み、新しい事業も積極的に学び取り入れ、それに必要なスキルを身に着けることが重要である。
(4)最後のスローガンであるが、現在は特に掲げていないが、公益法人協会の中でぜひ良い合言葉を議論してほしい。
ちなみに私だったら、『民間非営利公益活動の持つ「公益価値」をより高めて世界に伍して国の福祉度の向上-(国の品格の高揚と言い換えてもよいかもしれない*)に貢献しよう!』と言いたい。

   *大原謙一郎「民間の非営利公益組織をもっと元気にしたい」『経友』176(2010.2)を参考にさせていただいた。


With Coronaと公益法人協会 | 公益財団法人 公益法人協会