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13年前の予想と現実~一般法人~

(公財)公益法人協会 会長、(一財)非営利組織評価センター 理事長 太田 達男

2007年5月のこのコラムで、私は「玉石混交」と題し、翌2008年12月から
始まる一般社団・財団法人制度について、以下(要約)のように寄稿した。

「 一般法人は法人の坩堝(るつぼ)となる。
 具体的には、三つのタイプの法人が出現することとなる。
 一つは実質公益法人。主たる事業は立派な公益目的だが、何らかの事情で公益認定を
 取得しない(またはできない)法人だ。二つ目は、構成員の利益を目的とする同窓会、
 同好会、特定職域の社員親睦団体、などいわゆる共益法人。三番目は、特定少数の
 利益を目的とする私益型一般法人だ。これはさらに二つのタイプに分けられよう。
 一つは、会社の代替として事業展開に活用しようとするタイプだ。
 もう一つは、「財産の安全地帯」として用いられるタイプだ。
 流動化(証券化)や資産の保全管理のためにSPV(特別目的装置)として使われたり、
 富裕層の事業・資産承継の仕組みとして活用されることになるのではないか。
 問題は私益型法人だ。経済活動を活発化させ発展させるという前向きのものもあれば、
 非営利に仮装して私益を貪る、あるいは財産を逃避させるなどの法人も出現するだろう。
 このような玉石混交が予想されるなか、私たちは市民にとって本来有用な法人が、
 少しでも多く設立されるよう願わざるを得ない。
 とりわけ公益型法人や共益型法人が大勢を占めるためにはどうすればよいのか、
 市民がどのように法人のタイプを識別できるのか、大きな宿題が残されている。」

それから13年後、現実はどうか? 
答えは、未だにはっきりとはわからないというのが結論だが、その理由はご承知の通り所轄庁がないので、正確な統計数字が存在しないためだ。
ただ、何となくその姿がぼんやりと現れてきている。

まず件数だが、国税庁の法人番号公表サイトで、件数は正確に判明している。
12月8日現在設立件数累計は、79,258法人(うち社団71,346、財団7,912)、
すでに解散した法人が5,294法人あるから、現存数は73,964法人(うち社団66,455、財団7,509)。
ただ、この件数には旧民法法人や旧中間法人から移行した一般法人があり、この数が正確には掴んでいないが1万5,000件程度と推量するので、制度創設以来新設された一般法人の現存数は約5万9,000件となる。
これは1998年に制定された特定非営利活動法人の13年目の件数、4万5,000より30%程度多いことが分かる。
もちろんこのサイトからは、法人番号・名称・住所だけしかわからないので、事業目的など実態は全く知るすべがない。

しかし、昨今一般法人が随所で活躍している事例が目に付くようになってきている。
たとえば、一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA)から、2019年度通常枠として助成金を受けた、資金配分団体および現場の実行団体165団体の法人類型を見ると、トップは特定非営利活動法人の78件が突出し、
続いて一般法人が29件と2位となっている。
(因みに3位・任意団体20件、4位・公益法人18件、5位・株式会社等営利法人12件)
また、一般財団法人非営利組織評価センター(JCNE)のベーシック評価を受け、同センターのホームページに掲載されている303団体の内訳は、特定非営利活動法人197件、続いて一般法人82件、公益法人20件、社会福祉法人4件である。
このように、一般法人が社会からの信頼を受け地域や専門分野で、社会的課題解決に向けて活動している姿が徐々に可視化されてきている。

JCNEは、昨事業年度一般法人の現状調査のためのアンケート調査を実施し、事業目的、機関設計、財政規模などある程度の傾向を報告書にまとめホームページに公表(https://jcne.or.jp/2021/08/02/report-7/)したが、今年度もさらに調査母数を増やし、調査を実施する計画である。
JCNEはこれらの調査から浮かび上がる一般法人の実態を踏まえ、本業である評価・認証事業を通じて、社会的課題に取り組む一般法人を数多く見出していきたいと考えている。

*参考
 ・コラム「玉石混交」(2007年5月)
  http://www.kohokyo.or.jp/kohokyo-weblog/column/2007/05/
 ・(一財)日本民間公益活動連携機構(JANPIA)
  https://www.janpia.or.jp/
 ・(一財)非営利組織評価センター(JCNE)
  https://jcne.or.jp/