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年頭に思う

公益財団法人 公益法人協会 常務理事 長沼 良行
年末年始は9連休となり、旧交を温める機会も多かったのではないだろうか。
久しぶりに会う人とはだいたい近況報告となる。近況報告といえば仕事の話になるだろう。
そういうときに話がすっと通らないのが私の場合である。
自分の所属する組織、仕事の内容を説明すると途端にみな?マークが顔に浮かぶ。
つまるところ「公益法人」を説明することになるのだが、これがまた一苦労だ。
聞いているほうも納得したのかしないのか、面倒くさいのか、お互い消化不良のまま次の話題に移ってしまう。
皆さんはそんな経験はありませんか?

実は、回りを見渡せば、公益法人は身近な存在で、市民が生活している中で折々に接しているひともいるはずだ。
例えば、自治体のホール、劇場を運営している団体で、公益財団法人であるケースはよく見かけるし、シルバー人材センターで活躍しているご近所さんもいる。
そのほかにも文化芸術振興、環境保全、青少年育成、奨学金給付・貸与、まちづくり、国際交流、災害支援などなどあげれば枚挙にいとまがない。

これだけ身近にあるのに、言葉は生活に浸透していない。
そもそも義務教育で教わった記憶がない。
そこで何年か前に、業務の合間に民間非営利活動が日本の教科書でどのように取り扱われ、記載されているか調べたことがある。
対象としたのは中学校社会科教科書「公民分野」で、7社(※)の文科省検定済教科書である。

その時のメモを読み返すと、概略次のようなことが書かれている。
・民間公益活動関連の用語としては、NPO(非営利組織)、NGO(非政府組織)、ボランティア、特定非営利活動促進法、NPO法人が取り上げられている。
 また、個別の非営利組織の活動について紹介されているものもある。
・国際協力、国際社会、人権、世界の平和という文脈で、NGO(非政府組織)の活動について触れている。
・地域社会、まちづくり、協働という文脈で、NPO(非営利組織)の活動について触れている。
・非営利組織といっても、“NPO法人” は紹介されているが、その他の非営利法人格には触れられていない。
つまり、「公益法人」という用語は、義務教育の教科書には索引にも出てこないのである。

ある教科書では、日本社会の姿を、企業と政府に分けており、企業を私企業と公企業に分けて説明し、私企業を構成するのは、個人企業、会社企業、協同組合、非営利法人(財団法人、社団法人、学校法人、医療法人、社会福祉法人など)、特定非営利活動法人、としている教科書もあった。
これはちょっと違うんじゃないか、と思うわけです。
教育現場における「公益法人」の状況が変わっていないのであれば、次代を担うユース世代を念頭に関係方面にはアドボカシー活動が必要になるのではないかと勝手に思っている。

さて、4月にはいよいよ制度創設後、初めての抜本改革となった新たな公益信託制度が施行される。
公益法人と公益信託が、国民にとってどのようなかかわり方をしているのか、どうすればより国民にとって身近に感じられる制度となるのか、どうのように国民生活と関係があるのか、わかりやすく伝えていくことも当協会の使命であると考えている。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

※育鵬社、教育出版、清水書院、自由社、帝国書院、東京書籍、日本文教出版。
                                     (了)


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