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公益法人だって守って欲しい?

(公財)公益法人協会 常務理事 長沼 良行

政府は、2024年の通常国会へ、公益法人制度改正及び公益信託制度抜本改正の法案提出を予定しており、公益法人制度については2006年制度改革後、初めての大幅な改正となり、公益信託制度については1922年の制度創設後 初の抜本的な改革となる。

公益信託制度については、2019年2月に「公益信託法の見直しに関する要綱案」が法制審議会で最終決定されており、ようやく法案が国会上程の運びとなり非営利法人関係者の間では関心も高く喜ばしい限りである。

ところでこの要綱案が採択された法制審議会第183回会議においては、公益法人、一般法人の運営にとっても大きな影響があった「会社法制(企業統治等関係)の見直しに 関する要綱案」も採択された時である。この要綱案をもとに会社法が改正され、その整備法により関連法案という形で一般法人法も一括して改正(社員総会資料の電子提供制度、補償契約及び役員等のために締結される保険契約、役員の欠格事由の削除、従たる事務所の所在地における登記の廃止、等)されたことは記憶に新しい(2019年12月改正法成立・公布、2021年2月より順次施行。この一括改正の問題は今回はおいておくが、関心のある方は、『公益法人』誌(2020年1月号)「改正一般法人法の決定手続について、法務省へ要望」をご覧ください)。

この会社法制要綱案が採択された時に、さらに法人関係者にとってもう一つ大切なことが附帯決議として採択されている。DVやストーカー等の被害にあっている、または被害にあうおそれのある法人代表者がその旨を申し出ることにより、登記事項証明書において代表者の住所を表示しない措置を講ずることが盛り込まれた。この附帯決議を受け、商業登記規則が改正され、2022年9月に施行されている。それでもストーカー被害がある場合を除いてということなので、手続きを踏めば誰でも登記情報を閲覧できるわけで、代表者の個人情報が不正利用される心配は残っている。

本題はここからなのですが、法務省では昨年12月26日、「商業登記規則等の一部を改正する省令案」に関する意見募集を実施した。株式会社代表者の登記住所について希望者は非公開にできる方針である。改正の狙いとしては、経営者や起業家のプライバシーを保護し、個人情報がさらされる不安なくスタートアップ企業を立ち上げられるよう設立の後押しにもあるようだ。スタートアップ企業の育成は、「新しい資本主義」の柱にも掲げられている目玉の政策である。この改正自体は歓迎すべきことだ。

ただ、問題は、この措置を適用されるのが株式会社のみということだ。個人情報保護の観点からは法人の代表者をめぐる状況は、株式会社に限らず、公益法人、一般法人、特定非営利活動法人だって同じである。スタートアップは株式会社に限ったことではないし、社会課題を解決するために一般社団・財団法人や特活法人を立ち上げようとする志あるひとも多い。プライバシーだって株式会社の代表だけでなく保護してもらいたい。ここは株式会社に限らず幅広い法人格において安心して法人登記できるよう更なる改正を望みたい。

というわけで、公益法人、一般法人関係者の皆様、ご賛同いただける方は声を上げましょう。意見募集の期限は1月25日までです。 https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300080305&Mode=0

(※本稿は執筆者個人の見解であることをお断りしておきます。)



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