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日本と朝鮮半島の人々との信頼関係の構築:歴史に真摯に向かい合う大切さ

(特活)アジア・コミュニティ・センター21 代表理事 伊藤 道雄
筆者が所属する(特活)アジア・コミュニティ・センター21(ACC21)は、2019年11月から「日韓みらい若者支援事業」を実施している。
事業を企画した背景として、2018年10月30日に韓国の大法院(日本の最高裁判所にあたる)が日本企業に元徴用工4人の韓国人に賠償を支払うよう判決したことから端を発し、両国関係が急速に悪化し、戦後最悪と言われる両国関係の冷え込みがあった。
その根底にあるのは、両国間に歴史認識が共有されてないことだと判断し、事業の目的は「日韓の過去の歴史を、在日韓国人・朝鮮人の若者たちの参加も得て日本の若者たちが直視し、2国間の共通の歴史観を育み、それを基礎に両国関係の未来を志向する姿勢、そして能力を身に付けるのを支援し、その輪を広げていく」とした。

事業は、以下の4つの活動から構成されている。
(1)日韓関係に携わる民間団体の情報収集と信頼関係の構築、そしてその関係団体の実態の把握、(2)学習会活動、(3)“語り場”活動、(4)フォーラム活動。
本事業を始めて間もなく、新型コロナウイルスが広がり、事業の進捗に影響を受けたが、本年4月に過去2年度にわたる活動の集大成として「フォーラム」を開催した。
フォーラムの発表者は、在日コリアンの大学院生や沖縄の女子学生を含む学生4人と社会人1人で、全国からの一般参加者40余人とオンラインで結ばれ、それぞれの学習会、“語り場”活動の体験を共有した。
テーマは、「韓国の歴史教科書について知ろう!」「(1936年のベルリンオリンピックのマラソンで優勝した)孫基禎の生き方から学ぶ」など5テーマ。
ここでは、紙面の制約から詳細な説明は割愛する(参照 https://www.acc21.org/action/nikkan/)。
学習会等の参加者と共に筆者自身が学んだことは、日韓関係についての知識・理解が不十分で、偏っていたことである。
今後、史実と向き合い、長い交流を続けてきた隣国の韓国・北朝鮮の人々のことを理解する必要がある。

本稿を準備していた数日前に、弁護士で英国王立精神科医学会名誉フォローの戸塚悦郎氏著書の『日韓関係の危機をどう乗り越えるか?―植民地支配責任のとりかた―』(アジェンダ・プロジェクト、2021年)を入手し読むことができた。
それには、本稿の冒頭で紹介した韓国の大法院の判決は、日本が朝鮮を保護国(植民地)にした1905年11月17日の「韓国保護条約」は無効であったとの見地で下されたと、述べている。
戸塚氏は、1992年にロンドン大学の図書館で研究活動をしていたとき、国連国際法委員会の1963年の総会宛て報告書を見つけ、その中に「韓国保護条約が絶対的無効であるとする記載を『発見』」しました。」と著書で報告している。
国連国際法委員会が無効とした根拠は、伊藤博文が高宗皇帝を脅迫して作った条約の草案であり、高宗皇帝は最後まで抵抗し、署名も批准もしなかったという事実に基づくものである。

筆者は、日韓関係をひいては朝鮮半島の人々との関係を信頼に基づく創造的なものにしていくためには、若者たちが(もちろん事業の運営委員として筆者も)歴史に真摯に向かい合う努力が肝要との考えを新たにした。