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公益信託と公益法人協会

公益財団法人 公益法人協会 会長 太田 達男
新公益信託制度が愈々来年4月より施行される。
公益法人協会(以下、公法協)は、設立当初から公益信託制度普及と改革の最前線に立って重要な役割を果たしてきた。この機会に少しその歴史を振り返っておこう。

公法協創立(1972年10月)の翌月11月の月刊『公益法人』誌創刊号巻頭言で、当時総理府参事官補佐であった大石良雄氏が「公益信託制度を研究しよう」という論考を寄稿している。
これがきっかけとなり公法協は、信託協会の協力を得て、翌72年に研究会(委員長:田中實慶應義塾大学教授)を立ち上げた。
英米での現地調査も交え、1922年に法律としては成立していたものの、実際に設定された実績はなく50年以上も冬眠状態にあった、公益信託の実用化を進めるべきとする内容の報告書を発表した。
その後公法協、信託協会は、経団連の協力を得て、政府(各省庁)への要望活動を続け、1977年にわが国第1号となる2件の公益信託が実現した。

その後2000年代に入り、公法協は、自主事業として2002年に「公益信託の抜本的改革に関する研究プロジェクト」研究会(座長:能見善久東京大学教授(当時))、2006年には総理府委託事業として「公益信託制度改革調査」研究会(座長:公法協理事長太田達男(当時))を実施した。
これらは先行する110年ぶりの公益法人制度の抜本的改革の動きに平仄を合わせ、公益信託も全面的に見直そうというものであった。

2006年、信託法は集団的投資スキームとしての性格を強く意識した商事信託の色彩の強い大改正が行われたが、公益信託については信託法から分離され、折から並行的に進んでいた公益法人制度改革の結果を勘案するという理由で改正は見送られた。

その後公法協は、社内チームでの綿密な改正案検討を踏まえて、2013年4月、関係5省庁(法務、財務、自治、内閣府、金融庁)大臣宛要望書を提出、担当官に説明、早期改正を要望した。
この結果、ようやく2015年法務省の主宰する商事法務研究会での検討を経て、2016年に正式に法制審議会信託法部会での審議が始まり、2019年2月に「公益信託法の見直しに関する要綱案」が固まり、法務大臣に提出された。

公法協は、このような情勢をにらみつつ、一般になじみの薄い公益信託制度の理解と普及促進を目的に、2020年7月「新しい公益信託の活用に向けた勉強会」を立ち上げ、翌年12月まで18回の会合を続けたが、肝心の法案の国会提出の動きがなくいったん中断した。
その後法案提出が現実の日程となり、この「勉強会」も2023年12月から「研究会」と改称し再開、現在まで既に26回にわたり続けている。
この研究会メンバーで内閣府のガイドライン準備研究会の参与に委嘱されたり、ワークショップに参加したり、地区での勉強会が立ち上げられたり、各所で行われる会合等で講師を務めたり、この研究会から研究成果と人材がいろんな方面に拡散していることは大変喜ばしいことである。

最後に、その一つ一般社団法人「公益信託推進イニシアチブ(IーACT)」を紹介しておこう。
IーACTは、「新しい公益信託の活用に向けた研究会」の世話人(岡本仁宏氏、小林立明氏及び小職)により本年10月に設立された一般社団法人で、公益信託専門の法人として設立されたわが国最初のものである。
IーACTは、前述のように公益信託制度の改革と普及に大きな貢献をしてきた公法協と連携、協力し、一体となって公益信託の普及・啓発及び基盤整備等の事業を行ない、持続可能で自立した民間非営利活動の発展に寄与することを目的としている。

来る2026年4月の新公益信託法施行を控え、IーACTは公法協の後援を得て、来年1月(初級編)、2月(中級編)、3月(上級編)の「連続3回緊急セミナー」を各第3月曜日に開催する。
関心のある方は、公益信託推進イニシアチブ(IーACT)のホームページ(https://www.i-act2025.org/)をご確認の上、セミナーにつきましては事前にお申し込みください。






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