公益財団法人 かめのり財団 常務理事 西田 浩子
公益財団法人かめのり財団は、2026年度に創立20周年をむかえます。
弊財団理事長の宮嶋泰子は、本年1月の「かめのりフォーラム」の挨拶で「世界情勢が混乱する今、日本とアジア・オセアニアの若い世代の交流による相互理解の重要性が増しているとし、原点に返って事業に取り組みたい」と話しました。
そのうえで、会場にいる青少年交流プログラム参加生やかめのり大学院奨学生に向け、「社会のためになることを考え続けてほしい」と語りかけました。
弊財団のフォーラムでは、私たちが表彰したかめのり賞受賞者による活動紹介、プログラム参加者による体験発表など、必ず当事者に登壇してもらい、自らの言葉で思いや考えを伝えてもらうことを大切にしています。
これは、現在の社会において、弊財団がどのような人や活動を育て、支援していきたいかを知っていただくには、アジアでの交流を実体験した高校生たちや、課題に取り組み実践する方々のありのままの姿と、その言葉を聞いてもらうことが一番の近道だと考えているからです。
また今回は、初の試みとして、多文化共生地域ネットワーク支援事業の助成団体に、実践報告をしてもらいました。
南米ルーツの外国人が多く住む群馬県太田市で、児童・生徒への学習支援などを行っている団体「みんなの Vamos Papear(バモス・パペアール)」の横田シルビアさんと坂本裕美さんによる報告です。
日系二世で約30年前より日本在住の坂本さんは、群馬県太田市独自の制度である「バイリンガル教員」として日本の学校に20年勤務しています。
2005年から日本に住む横田さんは、ブラジルで博士号を取得し、現在はブラジル人学校で数学や物理を教える傍ら、夜間学校で日本語の勉強を続けています。
2008年に始めた活動のきっかけは、日本の学校に通う外国にルーツを持つ児童が母語のポルトガル語を話せなくなり、親である保護者とのコミュニケーションが難しくなってきたこと、さらに定住化が進み日本で学校の授業についていけないという課題が増してきたことだと言います。
今の日本の公立学校には多様な国の子どもたちが在籍しており、学校の中だけで母語を保持するのは困難なため、外部での母語の学習支援を始めたそうです。
また、学校から離れた若者たちが日本社会になじめない状況があり、地域と協力して居場所づくりにも取り組んでいます。
たしかに、日本に暮らす在留外国人の増加に伴い、日本語指導が必要な外国人児童も年々増加し、受け入れる学校や自治体にとっては課題が山積みの状況が続いています。
国立社会保障・人口問題研究所の2023年の推計では、2070年には日本国内の外国人が939万人に達し、総人口の1割を占めると予測しています。
そうなりますと、日本で共に生きる外国ルーツの子どもたちにも、将来を担う大切な社会の一員として、十分な学びの機会を確保していくことが、これまで以上に重要になってきます。
しかしながら、必要な環境整備や公的支援が十分に進んでいるとは言い難いのが現状です。
こうした生の声を今回のフォーラムで聞くことができたことにより、弊財団がこれまで、多様な文化や考え方、生活習慣に出会い、理解し合えるきっかけとなるよう、草の根活動の支援や青少年の国際交流事業を続けてきたことの意義と役割の大きさを、
改めて実感する機会となりました。
20周年という節目を迎えるにあたり、これまでの歩みを胸に、思いを新たに今後の事業に取り組んでまいります。
(ご参考)
そのほか受賞者の挨拶、体験発表をふくめ「かめのりフォーラム」のレポートは以下をご覧ください。
・活動報告「みんなのVamos Papear(多文化共生地域ネットワーク支援事業実践団体)」
かめのりフォーラム2026:https://www.kamenori.jp/forum2026houkoku/
・かめのりフォーラム2026開催レポート:https://www.kamenori.jp/forum2026report/