(公財)公益法人協会 常務理事 長沼 良行
私が公益法人協会に入職したのは、2002年6月であった。 広報出版部門の担当者として採用され、まず『公益法人』誌の編集を担当した。 5月半ばに採用面接を受けた折に渡された見本誌が5月号だったが、当時の誌面を見返してみると、トップ記事では、「公益法人制度の抜本的改革に向けた取組みについて」を掲載し、政府が、同年3月末に公益法人制度の抜本的改革に向けた取組みに関する閣議決定を行ったことを報じている。 民法制定後、110年ぶりといわれる公益法人制度改革の検討が本格化していく時期であった。 私が前任者の後を受けて初めて編集を担当したのが7月号からだったが、トップ記事は、米国フィランソロピー・ミッションの調査レポートで、「ガバナンスとアカウンタビリティ」、「アメリカにおけるNPO法制とガバナンス」であった。 営利企業とは勝手が違う世界で、右も左もわからないながら原稿を読み、筆者に疑問点を確認すべく原稿整理したことを思い出す。 その時の執筆者のお一人は、当時松蔭女子大学(現松蔭大学)の雨宮孝子教授であった。現在の当協会理事長である。 その年の『公益法人』誌1月号では、太田前理事長(現会長)が「公益法人制度見直しの視点」と題する年頭コラムを寄せている。 そのコラムは、「…非営利公益法人をどうすれば自由闊達に、創造性豊かに公益目的に専念してもらうことができるのか、政府はどうのようにこれを支援するべきかという前向きな発想こそが、今最も望まれる改革の視点ではなかろうか。」と締めくくられている。 あれから20年、内閣府では本年6月、「新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議」で財務規律、行政手続き、ガバナンス等の見直しを柱とする「最終報告」をとりまとめ、これを受け「経済財政運営と改革の基本方針2023」(骨太の方針2023)では、公益信託制度を公益認定制度に一元化することと併せて、2024年通常国会への関連法案の提出とともに体制面を含め所要の環境整備を図ることとされた。 当協会では制度施行後間もない頃から、機会あるたびごとに財務基準等の改正を提言してきたが、岩盤のごとく動かなかった収支相償原則や遊休財産規制等が見直されることとなったのは、様々なめぐり合わせとともに公益法人関係者の地道な努力の賜物でもあるだろう。 今回の制度改正の詳細設計はこれからである。 より「自由闊達に、創造性豊かに」活動ができるような使い勝手の良い2度目の制度改革になればと思う。 そのためには公益法人側からも声を上げていく必要がある。当協会も最善を尽くしたい。 ご支援ご協力賜りますようよろしくお願いいたします。 最後になりましたが、7月から常務理事を拝命いたしました。 引き続きご厚誼のほどどうぞよろしくお願いいたします。